37℃のグラビティ
そこにちょっとした違和感を持つ。


どうしてか、この部屋には、生活感というものが、全く感じられない。


この広い部屋にひとりで、新海が暮らしている様な……そんな感じ。


だけど部屋は、男の子の独り暮らしとは思えないほど、生理整頓されている。


この部屋と比べたら、女であるアタシの部屋の方が、よっぽども散らかっていると思われた。


何も言わずアタシの前に、オレンジジュースを置いた新海が、ソファーにドサッと全身を預けて隣に座る。


スプリングの震動が、アタシにまで伝わって、思わずよろけそうになった。


新海が横にいるというだけで、あの屋上で感じた時の様に、妙な緊張感がアタシを襲う。


流れる沈黙の中、アタシはひたすら、新海との会話を探していた。
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