37℃のグラビティ
episode1:恋の忘れ方?
「お父さんとか、お母さんとか、何時頃帰って来るの?」
覚えた違和感に、アタシは何気ない言葉で訊ねていた。
「さあね。仕事でほとんどいないからな」
新海は手にしていた雑誌に目を落したまま、なんてことなく言う。
「そうなんだ……」
何となく深追いしてはいけない雰囲気を察知して、軽めに相槌を返すと、新海が話題を変えた。
「お前、転校これで何回目?」
「小学校の時に3回、中学で1回、高校で1回だから5回目。新海くんは?」
「小、中、高で、1回ずつ」
「そっか。転校ってさ、何回しても慣れないよね」
「そんなもん、慣れたくもねぇよ」
「確かに」
アタシは小さく吹き出して苦笑い。
そして流れた沈黙に、掛け時計の秒針が、やけに響いて耳に届く。
居心地が悪いというわけじゃない。
ただ新海が隣にいると、やっぱりどこか、妙に緊張してしまう。
だけど今日はそれ以上に、アタシはひとりになりたくなかった。
覚えた違和感に、アタシは何気ない言葉で訊ねていた。
「さあね。仕事でほとんどいないからな」
新海は手にしていた雑誌に目を落したまま、なんてことなく言う。
「そうなんだ……」
何となく深追いしてはいけない雰囲気を察知して、軽めに相槌を返すと、新海が話題を変えた。
「お前、転校これで何回目?」
「小学校の時に3回、中学で1回、高校で1回だから5回目。新海くんは?」
「小、中、高で、1回ずつ」
「そっか。転校ってさ、何回しても慣れないよね」
「そんなもん、慣れたくもねぇよ」
「確かに」
アタシは小さく吹き出して苦笑い。
そして流れた沈黙に、掛け時計の秒針が、やけに響いて耳に届く。
居心地が悪いというわけじゃない。
ただ新海が隣にいると、やっぱりどこか、妙に緊張してしまう。
だけど今日はそれ以上に、アタシはひとりになりたくなかった。