37℃のグラビティ
強く閉じた瞼の奥で、新海の近付く気配を感じとる。


新海の唇は、アタシの唇をスルーして……


「バーカ」


耳元で呟いた。


アタシへと覆いかぶさっていた体を起こし、ソファーに座り直した新海が、スマホを手にしながら言う。


「無理矢理とか、相手が投げ遣りとか、そんなんでHする趣味、俺にはない」


体をゆっくりと起こして、乱れた制服を直しながら、新海に訊いていた。


「新海くんにとって、Hって何?」


真顔のアタシに、新海が小さく声をあげて笑う。


「快楽。そういうお前は?」


「……微熱かな」


「微熱?」


「そのものって言うより、人を好きになって感じる、微熱みたいに続く熱が好き」


小さく鼻を鳴らして笑った新海はそのままに、アタシは続けた。
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