37℃のグラビティ
「風邪を引いた時の高熱って、案外すぐ下がるけど、微熱ってなかなか下がらないでしょ? それと同じ。人を好きになるとさ、相手への気持ちとか、相手の温もりとかが、ずっと続く微熱みたいにアタシの体に残るんだ……」


「ふーん」


新海がどうでもいいような相槌を打ったところに、着信したアタシのスマホ。


「俺が邪魔なら、部屋出てくけど?」


アタシはそれに小さく首を横に振り、バッグの中からスマホを取り出した。


寛樹からではない事は、着信音でわかる。


多分……きっと、梓。


そう思って覗いたディスプレイに、留美(るみ)の名前。


留美は梓同様、中学からの友達。


高校で違うクラスになってから、遊ぶ事はあまりなくなっていた。


引っ越してから、何度かLINEのやりとりはしたけど……


そんな留美からLINEではなく、電話がくるなんて珍しい。


出来るだけ明るめの声で、その電話に出た。
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