37℃のグラビティ
留美との電話を切り、呆然とする。


繋がらなかった梓の電話。


アタシが梓に電話をかけた時、梓は……寛樹と一緒だった……?


もしそれが本当なら、いったい……いつから?


なんにも知らなかったのは、遠く離れたアタシ……だけ?


そんな事を考えながらアタシは……力なくソファーに、ストンと落ちた。


何も訊こうとはしない新海に、アタシは独り言の様に話し出す。


「彼氏から『別れよう』って、突然LINE来たんだけど……なんか、アタシの親友と付き合ってるみたい……」


新海に何を言って欲しかったわけじゃない。今、傍に居る誰かに、聞いて欲しかっただけ……


「いつからだったんだろう……? アタシ、全然気付かなかった……何も知らずに……ほんと、バカみたい……」


「そのセリフ、本人達目の前にして、言ってやれば?」


他人事と言わんばかりのセリフを放った新海の声と、アタシに向いてる眼差しは、何故かいつもより、どこか優しく感じられた。
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