37℃のグラビティ
「アタシ……会いに行ってくる」


まるで自分に言い聞かせるみたいに言った。


新海は「いいんじゃねぇの」というような眼差しを一瞬向け、またスマホに目を落とす。


不意にアタシの心に沸き上がる、なんともいえない心細さ。


「新海くんに、お願いがあるんだけど……」


スマホから顔をあげた新海が、ポーカーフェイスで、アタシを見る。


「旅費はアタシが持つし、彼氏にはひとりで会いにいくから。だから……一緒に行って下さい!!」


自分でも何を言っているんだって思いながら、他にすがる人がいないアタシは、気付けば新海相手に、頭を下げていた。


恐る恐る顔をあげて、様子を(うかが)うと。


どこ吹く風と言った感じで、今度は雑誌を読んでいる新海の姿があった。
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