37℃のグラビティ
寛樹の家へと続く路地を曲がろうとして、思わず止まる足。


そして咄嗟に、路地からは見えない建物の影に隠れた。


今、寛樹の家から出て来たのは、梓? もしかしたら、アタシの見間違い?


ドクドクと大きく波打つ心臓を押さえながら、物陰からそっと、もう一度覗き見た。


寛樹の家の前。


そこにはさっき見た梓だけじゃなく、寛樹の姿まであった。


嘘……でしょ?


見ていたくなんかないのに、それでも二人から目を離せない。


そんなアタシの瞳の中。


寛樹と梓はとても仲良さそうに、笑いあって……見つめ合って……


キスをした。
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