37℃のグラビティ
住んでいる都会(まち)へと向かう夜行バスの中。


アタシは昨日の寝不足と疲れで、あっという間に深い眠りの中へ……


目覚めた時は既に、バスは下車するターミナルに着いていた。


「新海くん、本当にありがとう」


そんなアタシに、新海は軽く手をあげて応えると、そのまま歩き出した。


新海の遠くなる背中を見つめながら、何故か無性に寂しさが込み上げる。


心細さが一気に押し寄せ、ふと頭に(よぎ)る寛樹と梓のキスシーン。


いったい何が寂しいのか、自分で自分がわからない。


ひとりぼっちが? 寛樹と梓の事が?


それとも……新海が行ってしまうこと?


考えても考えても、答えは出なかったけれど……


今日これから始まろうとする日曜日(いちにち)に、新海と過ごせる彼女(だれか)の事を……


どこかで羨ましく思う。


そんなアタシがいた ――
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