37℃のグラビティ
今日学校に来なかった新海の事を気にかけながら、帰宅したマンションの前。
反対方向から歩いて来た新海と、偶然バッタリ出くわした。
「今帰り?」
ポーカーフェイスで新海に訊かれ、それはアタシのセリフなんじゃないかと思いながらも頷いた。
日曜日の朝に別れたままの新海の服装で、だいたいの察しがついたアタシは、敢えて何も訊かず言わず、流れ的に並んで歩き出す。
隣を歩く新海から、アタシの鼻先へと、風が運んだ微かな移り香。
新海には不似合いの、そのちょっぴり甘い香りは……彼女と甘い時間を過ごしてきた何よりの証。
それが傷心のアタシとは、余りにも対照的で、ちょっとした意地悪くらい言ってみたくなる。
「新海くん、キスマークついてるよ?」
ついてもいないキスマークが、いかにも首筋にあるかの様に指差した。
「えっ? マジ!?」
らしくもなく慌てた新海に、思わず吹き出す。
反対方向から歩いて来た新海と、偶然バッタリ出くわした。
「今帰り?」
ポーカーフェイスで新海に訊かれ、それはアタシのセリフなんじゃないかと思いながらも頷いた。
日曜日の朝に別れたままの新海の服装で、だいたいの察しがついたアタシは、敢えて何も訊かず言わず、流れ的に並んで歩き出す。
隣を歩く新海から、アタシの鼻先へと、風が運んだ微かな移り香。
新海には不似合いの、そのちょっぴり甘い香りは……彼女と甘い時間を過ごしてきた何よりの証。
それが傷心のアタシとは、余りにも対照的で、ちょっとした意地悪くらい言ってみたくなる。
「新海くん、キスマークついてるよ?」
ついてもいないキスマークが、いかにも首筋にあるかの様に指差した。
「えっ? マジ!?」
らしくもなく慌てた新海に、思わず吹き出す。