37℃のグラビティ
「あ、そうだ。忘れないうちに渡しとく」


新海が差し出した可愛い紙袋に、アタシは小首を傾げる。


「土産」


「お土産? どこの?」


紙袋を受け取りながら、さり気なく訊いてみた。


「イギリス」


「イギリス!? 新海くん、海外行ってたんだ?」


「兄貴のとこ」


「新海くん、お兄さんいたんだ!?」


「陽織に言ってなかったっけ?」


アタシはそれに、コクンと頷く。


新海は自分と同じひとりっ子なんだと、勝手に思い込んでいた。


「兄貴、イギリスの大学行ってるから」


ずっと彼女(だれか)と、一緒にいるものだとばかり思ってた。


そっか……お兄さんのところだったんだ……
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