この剣は守る為に
タッカーの仕事は鍛冶師だ。

その名の通り、剣を鍛えて作ったり、破損した剣や鎧の修繕を行ったりする。

武具というのは鍛冶師の腕の良し悪しが如実に出る。

腕の悪い鍛冶師の剣は刃こぼれも早いし、耐久力も低い。

戦場で命を預ける武具に手をかけない者は、その分戦場で命を懸ける事になる。

その点、タッカーの仕事は誰もが認めるものだった。

彼の鍛えた剣は刃こぼれまでの周期が長く、たとえ刃こぼれしても修繕は大掛かりにならずに済んだ。

切れ味もそんじょそこらの剣に劣る事はなかった。

それは鎧に関しても同様だ。

丁寧に、丹精こめて仕上げられたタッカーの武具は、本人こそ知らないものの、騎士や剣士の間で高値で取引され、彼が初期に手がけた武具は、既に入手困難な品物として希少価値があった。

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