この剣は守る為に
そんな事、考えた事もなかった。

人殺しの道具を作る。

確かにそうだ。

剣や甲冑は戦争に赴く兵士の身にまとうもの。

つまりは戦いの為の道具だ。

戦い、相手を傷つける為の道具。

それをタッカーは作っている。

それは間接的に、タッカーが人を傷つけているという事。

ミーアの言う通りではないか。

「お願い…生活していくだけなら、鍛冶師じゃなくても生きていけるわ…だけど、タッカーが武具を作るのは嫌…タッカーが…優しい貴方がそんなものを作る姿を見るのは耐えられない…」

「……」

言葉を失ったまま。

タッカーは俯く。

愛するミーアの言葉は、何よりもタッカーの胸を鋭くえぐった。

< 21 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop