この剣は守る為に
タッカーは言う。

「君はこれを戦いの道具…人殺しの道具というけれど…それは違う」

彼は優しい表情でミーアを見つめた。

「この剣は守る為に生まれたんだ」

「守る…為に…?」

ミーアの呟きに、タッカーは頷く。

詭弁というかもしれない。

人によっては、同じ事だと言うかもしれない。

しかし、タッカーにとっては紛れもない真実。

これまで剣を鍛え続けてきて、一度たりとも。

彼は傷つける為の武具を鍛えた事などない。

やがて来る戦いのない時代を夢見て。

多くの人が、そして誰よりも、ミーアが笑顔で暮らせる世界を夢見て。

タッカーは守る為の武具を鍛えてきた。

「この剣も、この甲冑も…これも…これも…全て」

彼はもう一度ミーアを見つめる。

「君を…みんなを守る為に、僕は剣を打つんだ…僕自身には戦う力なんて無い…だけど、剣術は無理でも、その剣を作る事で、僕は君を守ろうと思うんだ」




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