花姫コネクト
 パンからはみ出るほどのソーセージは、パリパリでジューシー。好みすぎて、思わずうなってしまう。

 視線を感じて隣を向くけど、さっと()らされた。なんだろう?

「二人していいもの食べてる」

 みんなが戻って来て、一番に高嶺くんが反応を見せた。
 続いて、乙谷さんがいいなーと言った時には、河合さんが駆け寄って、いただきーとホットドックにかぶりついていた。

「えっ、ちょ、おい」

 奪われた姫先輩は、仕方ないなぁという顔をしてため息をつく。

 目の前で間接キスをした河合さんは、満足そうにハムスターのような頬を動かしている。

 最初から分かっていたことじゃない。小さな頃から一緒に過ごしているのだから、それくらい平気でするよ。

 前の通り、先輩後輩の感情を保てていたら、いちいち気にしなくて済むから。

「なにこれ! めちゃくちゃおいしい! 乙ちゃんも、はい」

 自分のもののように、河合さんがホットドックを差し出した。
 戸惑う乙谷さんに、あきらめたような声で、姫先輩が食え食えと吐き捨てる。

 にこやかにその光景を眺める高嶺くんを見て、どうしようかと手を止めた。

 姫先輩のは、ほとんど残っていない。
 でも、高嶺くんだけなしは気の毒な気がして。

「あ、あの……よかったら、食べます?」

 一度引っ込めかけた手を、高嶺くんの前へ出す。回し食べなんて、友達なら意識しないでやっている。

 ここであげない方が、よっぽど変だ。
「反対から食べてくれて、全然……」
「じゃあ、遠慮なくもらうね」

 そのまま食べかけの方から、ひとくち分が減った。

「ありがとう。おいしいね」
「……どういたしまして」

 少し驚いた。みんな、意外と普通にできてしまうものなんだ。

 残ったホットドックを食べようとしたら、手ごとさらわれて、あっという間に姫先輩の口の中へ入った。

「ああー! なんで食べちゃうんですか!」
「俺の分、少なくなったからな。ほら、早く食って行くぞー」

 もうっと頬張りながら、だんだん頬が熱くなっていく。

 あれ、ちょっと待って? 噛み締めながら、ふと気付く。

 これは、もしかして……。
 姫先輩との、三度目の間接キスだ。
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