花姫コネクト
 体育館で部活動をする生徒たちのかたわら、パシャパシャとデジカメのシャッターを切る音が響く。

 ドリブル、そして華麗なフォームでシュートを決める瞬間が目に入って、部員の掛け声に混じってグッと小さくガッツポーズをする。

 よし、バスケ部はこれで良し。


 新聞部は学期ごとに校内新聞を発行している。五月号は部活動の紹介をするため、ピックアップする部を取材しなければならない。

 これだけ撮り(だか)があったら、どれかは使えるはず。

 あとは、この人の技量次第……と思いながら視線を送ったとたん、カメラを抱えて隣に立つ姫先輩の動きが止まった。


「あ、しまった。レンズのカバー取り忘れてた」

「姫先輩、まさかわざとですか?」


 じろりと白い視線を向けて、すかさず付いたままのカバーを外す。
 せっかく良いショットを取って次へ行けると思ったのに。


「どうりで暗いなーと思った」

「気付きますよ。普通」


 もうっ、とため息を吐いて、さっき部長にインタビューした言葉を書き終えた。

 何を考えているのか分からない顔をして、レンズを覗き込んでいる。


「姫先輩は、どうして新聞部入ったんですか? どうせ、暇そうだしサボれるぜーって感じでしょうね」


 仕事が進まないことにむしゃくしゃして、少し嫌味な言い方をしてしまった。気分悪くしたかな。

 カメラから顔を離した姫先輩の目が、ふっとこちらを見た。


「……だったら何? 王子に関係ないだろ」


 無表情のままで向けられた視線に、ぐらりと心臓が揺れる。

 いつもなら、うるせーとか言って面倒くさそうにして終わるのに。


 ーー関係ないだろ。
 どうして今日は、真面目に受け取るの。
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