花姫コネクト
「……春になったら、卒業しちゃうじゃないですか。だから、寂しいなって」
三年生は、あと半年で高校生になる。同じ時間は、もう二度と過ごせない。
「……ふーん。じゃあ、メルが罰ゲームね。今から、告白タイムしまーす!」
こほん、と校長先生のように咳払いをして。
「小さい頃から、メルは響と一緒だったの。家が近くて、よく遊びに行って、家族ぐるみで旅行もした。メルはひとりっ子だから、響といるのが楽しくて、誰にも渡したくなかったの。困ってるの知ってても、メルだけの響ちゃんでいて欲しかった」
昔を懐かしむような落ち着きのある口調。
隣でうつ伏せになりながら、私たちは黙って聞いていた。
幼い頃の河合さんは、兄弟がいなくて寂しかったのかもしれない。その気持ち、分からなくもない。
だから、私にあんなことを……?
「それで、何が言いたいのかって言うとーー」
勢いよく起き上がって、河合さんがこちらを向く。
「メルは響が好き! 乙ちゃんと王子ちゃんと、悠晴くんもみんな好きっ! だから、来年もみんなと一緒にいたい……デス。以上」
きょとんとして、乙谷さんと目を合わせて、それからふふっと笑みがこぼれて来た。
さっきの文章に、返事をしてくれたようにも聞こえて。河合さんの思いが素直に嬉しくて、胸があったかくなる。
私もみんなが好き。この時間が好き。
布団の中で手を繋いで、ふわふわした優しい気持ちで眠りにつく。
どうかいつまでも、こうして仲良くいられますようにと祈りながら。
「……もう、メルは大丈夫だから」
どんな夢を見ているのか、そんな寝言が耳の上を飛んでいった。
三年生は、あと半年で高校生になる。同じ時間は、もう二度と過ごせない。
「……ふーん。じゃあ、メルが罰ゲームね。今から、告白タイムしまーす!」
こほん、と校長先生のように咳払いをして。
「小さい頃から、メルは響と一緒だったの。家が近くて、よく遊びに行って、家族ぐるみで旅行もした。メルはひとりっ子だから、響といるのが楽しくて、誰にも渡したくなかったの。困ってるの知ってても、メルだけの響ちゃんでいて欲しかった」
昔を懐かしむような落ち着きのある口調。
隣でうつ伏せになりながら、私たちは黙って聞いていた。
幼い頃の河合さんは、兄弟がいなくて寂しかったのかもしれない。その気持ち、分からなくもない。
だから、私にあんなことを……?
「それで、何が言いたいのかって言うとーー」
勢いよく起き上がって、河合さんがこちらを向く。
「メルは響が好き! 乙ちゃんと王子ちゃんと、悠晴くんもみんな好きっ! だから、来年もみんなと一緒にいたい……デス。以上」
きょとんとして、乙谷さんと目を合わせて、それからふふっと笑みがこぼれて来た。
さっきの文章に、返事をしてくれたようにも聞こえて。河合さんの思いが素直に嬉しくて、胸があったかくなる。
私もみんなが好き。この時間が好き。
布団の中で手を繋いで、ふわふわした優しい気持ちで眠りにつく。
どうかいつまでも、こうして仲良くいられますようにと祈りながら。
「……もう、メルは大丈夫だから」
どんな夢を見ているのか、そんな寝言が耳の上を飛んでいった。