花姫コネクト
 文化祭を翌日に控えた日の放課後。
 お化け屋敷の組み立て作業を終えて、ノートをかばんにつめていたとき。ブブブ、とスマホのバイブが鳴った。

 まだ教室に残る生徒からも、同じように音がして。
 クラスで作られたグループトークが表示され、不思議に思った。

 ほとんど使われたことがなく、ましてや学校にいるのに。

「ええー、なにこれ? 普通にヤバくない?」

 開くより先に、女子たちの大げさな声が耳に入る。

 ワンテンポ遅れてピコンと表示されたのは、二つの画像。

 私が高嶺くんと図書室でお弁当を食べているものと、もう一つは病院前の公園で姫先輩といた時のものだ。

 おじいさんが亡くなって気を落としていた先輩が、ちょうど私に寄りかかっているところ。

 どうしてこんな写真があるの?
 誰が、なんのために……。

 ぞくりと体が震える。
 可愛らしいトイプードルのアイコン。貼ったのはーー、彩葉ちゃんだった。

 ざわつき始める教室。スマホをのぞきこみながら、こちらへチラチラと視線が飛んでくる。

「高嶺と付き合ってんだと思ってた。まさか二股?」
「イケメン独り占めしといて、ないわー」
「高嶺くんかわいそう」
「うっざ」

 違う、これは違うの。否定したいけど、口も体も動かない。

「ちょっと見る目変わっちゃうよね」

 普通に話していた子まで、軽蔑するような眼差しをしていた。

 付き合ってないし、二股もしてない。

 訂正したいけど、今何を言ったところで言い訳にしか聞こえない。
 高嶺くんの優しさに甘えてきた、バチが当たったのかな。
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