花姫コネクト
 こうして見ると、姫先輩ってそこそこ良い顔をしてる。
 形は卵型で綺麗だし、寝てれば奥二重の線が見える。

 少し伸びた髪もそのままで、うっとうしくないのかな。

 そっと前髪をどけて、閉じられたまぶたに触れてみる。あ、意外とまつ毛は長いんだ。

 パシッと掴まれた手首が引き上げられて、切長の目がゆっくりと開かれる。


「目(つぶ)す気か?」

「……そんなんじゃないよ」


 お互いに伏せたままで触れ合う瞳。真っ直ぐ見つめてくるから、私も()らせなくなった。

 トク、トクと鼓動(こどう)(きざ)む音が聞こえる。これは、もしかしてーー。

 勢いよく飛び起きて茎の上を確認してみる。手のひらに伝わる感触は、いつも通りのこじんまりとしたもの。


「咲いてなかったぁーー」

 全精気を吸い取られたように落ち込む私を見て、姫先輩が小刻みに肩を揺らしている。


「ぷはっ、王子、ドンマイ。じゃあお疲れー」


 ケタケタと笑いながら、任務終了と言わんばかりに部室を出て行った。

 どうしてあんなに余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)なの。

 自分だって中三で、周りからからかわれてるくせして。
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