花姫コネクト
 土曜日の昼下がりは、彩葉ちゃんに誘われて地元のショッピングセンターへ来ていた。

 すれ違う景色を目で追う。
 夕日のようなオレンジ色、桜みたいな淡い色。元気になれる黄色と品のある紫色。この世界は花であふれている。

 愛しいと思える誰かがいて、幸せそうに笑い合って。


「ほんと、私だったら恥ずかしくて学校行けないよ」

「分かる。どれだけ自分だけの世界で生きてるの? って感じだよね」


 ヘアアクセサリーを眺めながら、隣に立つ女の子たちの話し声が耳に入る。

 ちらりと下げた視線の先に飛び込んだのは、短めのチェックスカート。この近くにある高校の制服だ。

 妙にそわそわして、手が汗ばんでくる。

 鏡を覗き込みながら、周りを気にしない大きさで飛び交っている言葉たち。


「誰も好きになったことないとか、どうやって生きて来たのって聞きたい。天然記念物?」

「そのうち蕾自体が認定されるんじゃない? 人の感情あるのかな、あの人」


 かばんを握る手に力が入る。さりげなくそこから遠ざかるようにして、別のコーナーへ移動した。
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