花姫コネクト
 私のことじゃないことは分かっている。

 聞こえて来た話の流れから、おそらく同じ高校の人の話だと分かるーーけど。

 もしかしたら、私も学校で同じように言われているかもしれないと思ったら、逃げ出したくなった。

 後を追って来た彩葉ちゃんが、声を掛けづらそうに横へ並ぶ。
 たぶん、さっきの女子高生たちの話が聞こえていたんだ。

 お互いに気まずい空気が流れて無言になる。

 だから小さく息を吐いて、ニッと唇の端を上げた。


「このリボンどうかな? ちょっと長すぎるかなーって思ったけど、変じゃない?」


 近くにあったヘアゴムを髪に当てて、何でもないような顔をする。

 そうしたら彩葉ちゃんの顔にも明るさが戻って、「それ、すごく可愛いよ」といつも通りの会話が始まった。


 ーー良かった。

 不安な音に気付いても、笑顔を見ると安心する。それは誰でも同じだと思うから。


 どんな時でも、笑ってやり過ごせば平穏に終われる。
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