花姫コネクト
 家へ帰ると、玄関にお母さんの靴があった。もう戻ってきたんだ!

 いつもなら(そろ)える靴を脱ぎっぱなしに、勢いよくリビングのドアを開けた。

 久しぶりに見たお母さんは、後ろ髪を結びながらバタバタと行ったり来たりしている。

 シャワーを浴びたあとなのか、部屋はシャンプーのいい香りがしていた。


「お母さん、おかえり」

「はなー、ただいま。って言っても、すぐ行かないとなんだけどね。ばあちゃん待たせてるからさ」


 着替えの服を入れたかばんを下げた手で、「ごめんねー」と私の頭を優しく()でる。

 いつものお母さんの手だ。あったかくて、安心する。


「いつ退院出来るの?」

「たぶん、明後日にはオッケーでると思うんだけどね。熱が下がらないことには、帰れないから」

「……そうだね。ふーちゃんにも、早く会いたいな」

風吹(ふぶき)も華を恋しがってるよ。あっ、もうこんな時間! ごめんね、華。もう行くね」


 平気な顔で手を振って、玄関のドアがバタンと閉まる音を聞いてから寂しくなる。

 一週間振りに会ったのに、あっという間に行っちゃったな。
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