花姫コネクト
***

「やっぱり冴えない中級クラスの二人じゃ無理なのかな」


 周りから食器とスプーンの(こす)れ合う音が聞こえてくる。

 空腹を満たす匂いが充満(じゅうまん)する中、目の前で姫先輩が眉をひそめた。


「俺まで一括(ひとくく)りにまとめんな。もっと感謝の意を示せ」

恩義(おんぎ)せがましい男はモテませんよ?」

「興味ない」


 ちょこんと飾りのように居座る蕾をつんつん触って、こぶしほどある唐揚げを頬張る。

 花が開いたら、これくらい立派なものになるんだろう。

 あそこに座るカップルなんて、この唐揚げ同等な大きさを(ほこ)らしげに付けている。

 いつもは友達と来ている食堂。姫先輩に頼み込んで、一緒にお昼を食べてもらうことにしたのだ。

 もちろん、恋未経験の仲間がいることを他に認識してもらうため。


「必死だな」

「当たり前ですよ。年頃の女子って、人の恋話が大好物なんです」

「ふーん。で、友達から笑い物にされてんだ?」

「逆です。最近、触れられな過ぎて逆に切ない……」


 ああ、と察したような声を出して、姫先輩はハンバーグを食べる。

 花が開いていないのは私だけじゃないというアピールをして、腫れ物に触るような接し方がなくなればいいと思った。

 恋を知らなくても、みんなと同じ人の気持ちが通っていることに気付いてほしい。
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