花姫コネクト
lesson3. 虫と幽霊は克服できません
春の大型連休に、ほぼ毎日学校へ来ている中学生が何人いるだろう。運動部ならまだしも、文化部という立ち位置で。
図書室の机に広げられた紙の前で、しかめっ面をしている新聞部五人。
「はあー、目が疲れた。つか、なんで取材担当の俺まで借り出されんだよ」
隣の席でぐったりとうつ伏せになる姫先輩に、乙谷部長がギラリと眼鏡を光らせる。
「文句言わないで。今年の新入部員が名無くんだけなんだから仕方ないでしょう」
「あーあ、そのナナシは家族旅行で欠席だしなー」
「……愚痴ばかり言ってないで、早く別の構成を考えて。それに姫川くんだって快く引き受けてくれたものだと思っていたけど。違う?」
二人の間に挟まれながら、飛び交う台詞が当たらないように身を縮めた。
校内新聞の発行二週間前になると、部室もしくは図書館でカンヅメにされるのが鈴蘭中の恒例。
広げられた写真をしぶしぶ見ながら、姫先輩は今どきデジタル化をしない手作業の新聞部なんてあんのか、など文句を連ねている。
「王子さん、大変でしょう。いつも姫川くんの相手するの」
隣で文章のチェックをする乙谷部長が呆れた声で笑った。
「嫌なことはハッキリ言えばいいのよ。年上だからとか関係ないから」
赤いラインを引く乙谷部長の横で、私はうんうんと強く頷く。
部長は真面目で優しいから、きっと心配してくれているんだ。
「たしかに、すぐバカにしてくるので苛立ちはしますけど。気楽にいられるから、姫先輩のことは嫌いじゃないです」
花を咲かせたことのない仲間でもあるから、いてくれるだけで少し心強くもある。
図書室の机に広げられた紙の前で、しかめっ面をしている新聞部五人。
「はあー、目が疲れた。つか、なんで取材担当の俺まで借り出されんだよ」
隣の席でぐったりとうつ伏せになる姫先輩に、乙谷部長がギラリと眼鏡を光らせる。
「文句言わないで。今年の新入部員が名無くんだけなんだから仕方ないでしょう」
「あーあ、そのナナシは家族旅行で欠席だしなー」
「……愚痴ばかり言ってないで、早く別の構成を考えて。それに姫川くんだって快く引き受けてくれたものだと思っていたけど。違う?」
二人の間に挟まれながら、飛び交う台詞が当たらないように身を縮めた。
校内新聞の発行二週間前になると、部室もしくは図書館でカンヅメにされるのが鈴蘭中の恒例。
広げられた写真をしぶしぶ見ながら、姫先輩は今どきデジタル化をしない手作業の新聞部なんてあんのか、など文句を連ねている。
「王子さん、大変でしょう。いつも姫川くんの相手するの」
隣で文章のチェックをする乙谷部長が呆れた声で笑った。
「嫌なことはハッキリ言えばいいのよ。年上だからとか関係ないから」
赤いラインを引く乙谷部長の横で、私はうんうんと強く頷く。
部長は真面目で優しいから、きっと心配してくれているんだ。
「たしかに、すぐバカにしてくるので苛立ちはしますけど。気楽にいられるから、姫先輩のことは嫌いじゃないです」
花を咲かせたことのない仲間でもあるから、いてくれるだけで少し心強くもある。