花姫コネクト
淡墨桜のようなしとやかさを持つ花が、乙谷部長の横でゆらり揺れた。
少しだけ開いている花びらは、一度は恋を経験したことを表している。
男子に興味のなさそうな乙谷部長も、誰かを好きになったことがあるんだ。
いつも良くしてくれるから、勝手に近く感じていたけど。なんだか遠い存在に思えて来た。
じっと見つめていたのを気付かれたのか、優しい目が首を傾げる。
だから慌てて紙へ視線を落として、ひたすら記事のことだけを考えた。
早く花を咲かせないと、あっという間に取り残されていく。
「ああー、腰痛てぇー。やっと終わった」
堕落した声を出す姫先輩に続けて、他の男子部員もドミノ倒しのように机へ伏せていく。
「みんなお疲れさま。ようやく完成したということで、これから少しお茶会しない?」
「お茶会……ですか。申し訳ないのですが、もうすぐ塾があるので帰らせていただきます」
「僕もゲームする予定があるから、ごめん」
乙谷部長の発言に、二年生の二人は口を揃えたように図書室を出て行った。
これは気まずい。眼鏡がギラリと光る時は、部長の機嫌が悪い証拠だ。
「じゃあ、俺もー」
カバンを手にして立ち上がる姫先輩の首根っこが、ぐいっと引っ張られる。
「なっにすんだよ」
「どこ行くの? 姫川くんは強制参加。当然でしょう。これは部長命令よ」
「なんで……」
「それと、もちろん王子さんもだからね」
「は、はい」
乙谷部長の気迫にたじろぎながら返事をすると、姫先輩は観念したようなため息を吐いた。
少しだけ開いている花びらは、一度は恋を経験したことを表している。
男子に興味のなさそうな乙谷部長も、誰かを好きになったことがあるんだ。
いつも良くしてくれるから、勝手に近く感じていたけど。なんだか遠い存在に思えて来た。
じっと見つめていたのを気付かれたのか、優しい目が首を傾げる。
だから慌てて紙へ視線を落として、ひたすら記事のことだけを考えた。
早く花を咲かせないと、あっという間に取り残されていく。
「ああー、腰痛てぇー。やっと終わった」
堕落した声を出す姫先輩に続けて、他の男子部員もドミノ倒しのように机へ伏せていく。
「みんなお疲れさま。ようやく完成したということで、これから少しお茶会しない?」
「お茶会……ですか。申し訳ないのですが、もうすぐ塾があるので帰らせていただきます」
「僕もゲームする予定があるから、ごめん」
乙谷部長の発言に、二年生の二人は口を揃えたように図書室を出て行った。
これは気まずい。眼鏡がギラリと光る時は、部長の機嫌が悪い証拠だ。
「じゃあ、俺もー」
カバンを手にして立ち上がる姫先輩の首根っこが、ぐいっと引っ張られる。
「なっにすんだよ」
「どこ行くの? 姫川くんは強制参加。当然でしょう。これは部長命令よ」
「なんで……」
「それと、もちろん王子さんもだからね」
「は、はい」
乙谷部長の気迫にたじろぎながら返事をすると、姫先輩は観念したようなため息を吐いた。