花姫コネクト
 どうせ、頭が悪いから単純なことしか出来なくて可愛げもない。
 そもそも顔の作りからして、とびきりの美少女にはなれない。

 分かっていて言うところが、この人でなしを作っているんだ。

 ふわっと紙が奪われて、へっと顔をされる。

「これもそろそろ潮時だろ。ときめきの分からん2人がやっても、時間の無駄だ」

 ぺらんと頭に乗せられた紙が、ひらひらと床へ落ちた。

「そこまで言うなら、姫先輩が教えて下さいよ」
「何を」
「勉強に決まってるじゃないですか。頭、良いんですよね? とびっきり」

 売られた喧嘩を買う勢いで頼んだけど、非常にやりづらい。

 説明も先生より分かりやすくて、前より問題もスムーズに解けるようになったのだけど。
 狭い空間にふたりきりというシチュエーションが、妙に違和感を感じさせる。

 勉強する時は眼鏡をするのか、カーディガンもグレーだし好きな色なんだなとか。余計なことに気が散って仕方ない。


「花咲きから逃れるために言ったことが、余計に自分をはめることになるとは」
「なんか言いました?」
「……別に」

 いつも通りの姫先輩に安心しつつ、問題へ目を向けたとたん。

「やっぱ無理……、もうこれ以上我慢出来ねーわ」

 じっと見つめられて、手が伸びてくる。
 もしかして、胸キュンレッスンをやってくれている?

 近付いて来た体から一歩退くと、ベッドの枠へ背中が当たった。なのにまだ迫ってくる。

「ちょ……、先輩? そうゆうの、今はいいですか……ら」
「すぐ終わるから、目瞑(めつぶ)ってろ」

 骨張った指が頬に触れる。
 これって、まさか……まさかね?

 姫先輩に限ってあるはずないけど、最近面倒そうだったから。
 手っ取り早く咲かせて終わらせようって魂胆では……!

 顔に影が重なって身動きが取れなくなったところで、思い切り目を閉じて空気を吸い込んだ。


「ま、待ってーーくだ……」
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