花姫コネクト
「やっべー、コイツいつからくっ付けて来た? 気になり過ぎて集中出来なかったんだけど」
「……はい?」
顔の前でクロスチョップの体勢になっていた手をゆっくりと下ろしてみる。
艶やかな緑をした丸っこいのが視界に入る。姫先輩の指先に摘まれて、ジタバタと手足を動かす生き物。
「ぎ、ギャアアアーー!」
「だから騒ぐな。ただのコガネムシだ」
先輩の親指の腹ほどの大きさはある。
それが今まで自分の髪に付着していたと思うと、泡を吹いて倒れそう。
「む、無理、それデカ過ぎ……死ぬ! この世で一番苦手なものが幽霊と虫なんですよ。コガネムシは悪いやつなんだから! 早く外へ……出して下さい」
「大げさなヤツだな」
窓を開けた隙間から、ぞぞっと身震いがする嫌な音を立てて飛び立って行った。
あまりに驚き過ぎたのか、手足に力が入らない。腰が抜けた。
「王子さ、そんなんで大丈夫なわけ?」
「何が……ですか?」
床にペタリと太ももをつけた状態を見て、へっぴりだなーと小言を挟みながら。
「花、咲いたら蜂とか蝶が寄ってくるだろ。あとコガネムシも」
サーッと血の気が引いていく。
恋を知って、早く花を付けたいと願うことはあっても、集られることは考えもしなかった。
シャーペンを指でくるりと回しながら姫先輩が、「ま、嘘だけど」としてやったりの顔で笑う。
どうやら花が開く時、虫除けになる成分も分泌されるようになっているらしい。
たしかに、街中や学校でも虫を引き連れている人を見た記憶はない。
「もうっ! なんでいっつも私のことからかうんですか」
立ちたくても立てない足を押さえながら、やり場のない感情を押し出す。
面白がって、人のことを馬鹿にして。
「……はい?」
顔の前でクロスチョップの体勢になっていた手をゆっくりと下ろしてみる。
艶やかな緑をした丸っこいのが視界に入る。姫先輩の指先に摘まれて、ジタバタと手足を動かす生き物。
「ぎ、ギャアアアーー!」
「だから騒ぐな。ただのコガネムシだ」
先輩の親指の腹ほどの大きさはある。
それが今まで自分の髪に付着していたと思うと、泡を吹いて倒れそう。
「む、無理、それデカ過ぎ……死ぬ! この世で一番苦手なものが幽霊と虫なんですよ。コガネムシは悪いやつなんだから! 早く外へ……出して下さい」
「大げさなヤツだな」
窓を開けた隙間から、ぞぞっと身震いがする嫌な音を立てて飛び立って行った。
あまりに驚き過ぎたのか、手足に力が入らない。腰が抜けた。
「王子さ、そんなんで大丈夫なわけ?」
「何が……ですか?」
床にペタリと太ももをつけた状態を見て、へっぴりだなーと小言を挟みながら。
「花、咲いたら蜂とか蝶が寄ってくるだろ。あとコガネムシも」
サーッと血の気が引いていく。
恋を知って、早く花を付けたいと願うことはあっても、集られることは考えもしなかった。
シャーペンを指でくるりと回しながら姫先輩が、「ま、嘘だけど」としてやったりの顔で笑う。
どうやら花が開く時、虫除けになる成分も分泌されるようになっているらしい。
たしかに、街中や学校でも虫を引き連れている人を見た記憶はない。
「もうっ! なんでいっつも私のことからかうんですか」
立ちたくても立てない足を押さえながら、やり場のない感情を押し出す。
面白がって、人のことを馬鹿にして。