花姫コネクト
誰もいなくなった放課後の図書室。一人でノートを広げていると、周りを見渡しながら高嶺くんが入って来た。
「はい、キャラメルミルク」
言いながら私の机と、自分のところにミルクコーヒーを置く。
「ありがとう。遅かったね。誰かに捕まってたの?」
勉強をする前に飲み物を買って来ると言ってから、十分は経っていた。
高嶺くんの机に百円玉を置くけど、それには触れずパックにストローを刺す。
「少し様子見てから上がって来た」
「そっか。なんか……、気使わせちゃってごめんね」
「大路さんが謝ることないよ。僕も静かに勉強したかったから」
高嶺くんが教室に残っていると、一部の女子たちが群がって帰ろうとしなかった。
みんな高嶺くんと話したいばかりで、彼が困った表情をしていても気付いていない。
ーーどうしてまだ帰らないの?
ーーこれから何かあるの?
ーーみんなでカラオケ行かない?
やんわり断ろうとしている高嶺くんを申し訳なく見ると、机に置かれている文庫本を指先でとんとんとして、
『 と・しょ・し・つ 』と唇だけが動く。
二人のみが知る合言葉みたいで、なんだか少し胸がくすぐったくなった。
「はい、キャラメルミルク」
言いながら私の机と、自分のところにミルクコーヒーを置く。
「ありがとう。遅かったね。誰かに捕まってたの?」
勉強をする前に飲み物を買って来ると言ってから、十分は経っていた。
高嶺くんの机に百円玉を置くけど、それには触れずパックにストローを刺す。
「少し様子見てから上がって来た」
「そっか。なんか……、気使わせちゃってごめんね」
「大路さんが謝ることないよ。僕も静かに勉強したかったから」
高嶺くんが教室に残っていると、一部の女子たちが群がって帰ろうとしなかった。
みんな高嶺くんと話したいばかりで、彼が困った表情をしていても気付いていない。
ーーどうしてまだ帰らないの?
ーーこれから何かあるの?
ーーみんなでカラオケ行かない?
やんわり断ろうとしている高嶺くんを申し訳なく見ると、机に置かれている文庫本を指先でとんとんとして、
『 と・しょ・し・つ 』と唇だけが動く。
二人のみが知る合言葉みたいで、なんだか少し胸がくすぐったくなった。