花姫コネクト
バフンと頭に何かが乗っかって、少しだけ体勢が沈んだ。
長方形の底、おそらく通学カバン。
「おーそーよう」
真上から聞き覚えのある声がする。顔を見なくても、すぐに分かった。
「なんで、姫先輩がーーうわっ」
とたんに腕を引き上げられて、姫先輩の胸に鼻が埋まる。体を離した時には、高嶺くんが立ち上がって二人の間に挟まれていた。
「こんなところで何してんの?」
「勉強してたら、閉じ込められたんです」
「へぇー、スマホは?」
「充電なくて」
「ふーん」
目の前を飛んでいく吹き出しを交互に見ながら、たらりと冷や汗を流す。
なにやら刺々しい空気が立ち込めている。間に入ったならば、彼らの火花で焦げてしまいそう。
そもそも、まだ七時三十分じゃない。生徒が登校するには早過ぎる。
どうして姫先輩が、こんな時間に図書室へ来たのだろう。
行くぞと手を引いて歩く背中が、少し不機嫌に映った。振り向いた先の高嶺くんは気まずそうに横を向いていて。
もしかしたらーーというただの想像は、一層色を強めていく。
知り合いのような口ぶりだったし、たぶん二人は仲が良くない。
長方形の底、おそらく通学カバン。
「おーそーよう」
真上から聞き覚えのある声がする。顔を見なくても、すぐに分かった。
「なんで、姫先輩がーーうわっ」
とたんに腕を引き上げられて、姫先輩の胸に鼻が埋まる。体を離した時には、高嶺くんが立ち上がって二人の間に挟まれていた。
「こんなところで何してんの?」
「勉強してたら、閉じ込められたんです」
「へぇー、スマホは?」
「充電なくて」
「ふーん」
目の前を飛んでいく吹き出しを交互に見ながら、たらりと冷や汗を流す。
なにやら刺々しい空気が立ち込めている。間に入ったならば、彼らの火花で焦げてしまいそう。
そもそも、まだ七時三十分じゃない。生徒が登校するには早過ぎる。
どうして姫先輩が、こんな時間に図書室へ来たのだろう。
行くぞと手を引いて歩く背中が、少し不機嫌に映った。振り向いた先の高嶺くんは気まずそうに横を向いていて。
もしかしたらーーというただの想像は、一層色を強めていく。
知り合いのような口ぶりだったし、たぶん二人は仲が良くない。