花姫コネクト
物心ついた頃から、花が生えていた。
耳の付け根から伸びた茎は、頬の横でちょこんと可愛らしく膨らみを付けている。
鮮明な記憶ではないけど、幼稚園の頃はみんな同じように閉じていて、小学生になると小さく花ひらく子が現れた。
初めの頃は、女子が多かった気がする。
恋をすると咲く花だと知った時、胸がわくわくして、むずむずして、待ち遠しくなって、わたしの花はいつ開くのか。そればかり考えていた。
なのに中学生になった今でも、その兆候はやって来ず。
校内を探しても、蕾を身につける生徒は両指を持て余すほどの人数しかいない。
焦らない方が不思議だ。あの姫先輩のように。
翌朝、教室へ入るなり彩葉ちゃんが駆け寄って来た。
耳元で可愛らしく咲く黄色い花を揺らしながら、私の両腕を掴む。
「華ちゃん、聞いてよ! 実は、例の人と付き合うことになったの!」
「ええ! おめでとう! どっちから告白したの?」
「なかなか言ってくれないから、私からしちゃったよ」
「彩葉ちゃん、すごい」
気になっている人と連絡先を交換して、一カ月ほどやり取りをしていると聞いていた。
向こうも気がなければ、毎日もしないだろうとは話していたけど。彩葉ちゃんは勇気がある。
頑張ったね、なんて偉そうに言いながら、私は恋すらしたことがない身分。少し羨ましく思った。
耳の付け根から伸びた茎は、頬の横でちょこんと可愛らしく膨らみを付けている。
鮮明な記憶ではないけど、幼稚園の頃はみんな同じように閉じていて、小学生になると小さく花ひらく子が現れた。
初めの頃は、女子が多かった気がする。
恋をすると咲く花だと知った時、胸がわくわくして、むずむずして、待ち遠しくなって、わたしの花はいつ開くのか。そればかり考えていた。
なのに中学生になった今でも、その兆候はやって来ず。
校内を探しても、蕾を身につける生徒は両指を持て余すほどの人数しかいない。
焦らない方が不思議だ。あの姫先輩のように。
翌朝、教室へ入るなり彩葉ちゃんが駆け寄って来た。
耳元で可愛らしく咲く黄色い花を揺らしながら、私の両腕を掴む。
「華ちゃん、聞いてよ! 実は、例の人と付き合うことになったの!」
「ええ! おめでとう! どっちから告白したの?」
「なかなか言ってくれないから、私からしちゃったよ」
「彩葉ちゃん、すごい」
気になっている人と連絡先を交換して、一カ月ほどやり取りをしていると聞いていた。
向こうも気がなければ、毎日もしないだろうとは話していたけど。彩葉ちゃんは勇気がある。
頑張ったね、なんて偉そうに言いながら、私は恋すらしたことがない身分。少し羨ましく思った。