花姫コネクト
lesson4. 十四歳は、大人ですか?
🍓「あとどれくらいかかるの?」

『まだ一年だから、あと二年はアメリカ(こっち)かな。どう、みんな元気にしてるか?』

「健康にやってるよ。あ、ふーちゃんはこの前入院した。いつものやつ」

『そうかぁ。お母さん大変だから、華も手伝い頼むよ』

「分かってるよ。そういえば最近ね……」

『あっ、もうこんな時間か! 華、ごめん。これから会議なんだよ。じゃあまたな」


 暗い部屋に浮かぶ光と音が一瞬で消えた。

 電気も付けないで、ベッドの上でころんと転がる。二ヶ月ぶりに、単身赴任しているお父さんと会話をした。

 掛けたきっかけは、なんとなく。久しぶりに声が聞きたくなったのと、いつもよりテストの手応えがあったから嬉しくて。

 お母さんはふーちゃんの寝かしつけで忙しいから、暇な時間の話し相手が欲しかっただけ。

 ほわんと灯りを放つ画面をスライドさせながら、お母さんに送ってもらった昔の画像を眺めてみる。
 ちょうど三年前に撮った写真には、ケーキを囲んで笑う自分がいた。


「十四歳……かぁ」

 カレンダーに付いた星マークが、心虚しく光っている。
 ほんとは少しだけ、期待していたのかもしれない。

 ーーお父さん、おめでとうって言ってくれなかったな。
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