花姫コネクト
いつも通りの朝を迎え、代わり映えのないご飯を食べる。卵焼きとソーセージは、お弁当に詰めた残り。
小さな洋服を忙しなく着替えさせて、お母さんが時間に追われるようにスニーカーを履く。
六月五日。土曜日の朝だというのに、慌ただしい人たちだ。
「お母さん、忘れてる」
「ああっ、ごめん! ありがと。遅くなりそうだったらココアするから」
かがんでふーちゃんの靴を履かせる頭に、ぽんと黒い帽子を乗せた。
小さな手を引きながら、玄関を出ようとする足を止めて、お母さんが振り向く。
「ああっ、そうだ華っ!」
「ーーなに?」
思わず重心が前へ傾いた。
「冷蔵庫にあるグラタン、お昼に食べちゃってね」
「……うん」
「じゃあ戸締り忘れないで。いってきます」
同じように振り返した手が、すとんと足の横へ落ちた。
仕方ないよ。起きてからずっと、ふーちゃんと自分の支度で忙しかったんだから。
今日は保育園のママたちと、お弁当を持ち合ってピクニックへ行くのだと聞いている。
家庭や仕事の都合だったりで、参加できる人のみで集まるらしいけど、少し前からお母さんは必ず行くと意気込んでいた。
この親睦会で親交を深めなければならないのだと、よく分からない大人の事情を話していた気がする。
小さな洋服を忙しなく着替えさせて、お母さんが時間に追われるようにスニーカーを履く。
六月五日。土曜日の朝だというのに、慌ただしい人たちだ。
「お母さん、忘れてる」
「ああっ、ごめん! ありがと。遅くなりそうだったらココアするから」
かがんでふーちゃんの靴を履かせる頭に、ぽんと黒い帽子を乗せた。
小さな手を引きながら、玄関を出ようとする足を止めて、お母さんが振り向く。
「ああっ、そうだ華っ!」
「ーーなに?」
思わず重心が前へ傾いた。
「冷蔵庫にあるグラタン、お昼に食べちゃってね」
「……うん」
「じゃあ戸締り忘れないで。いってきます」
同じように振り返した手が、すとんと足の横へ落ちた。
仕方ないよ。起きてからずっと、ふーちゃんと自分の支度で忙しかったんだから。
今日は保育園のママたちと、お弁当を持ち合ってピクニックへ行くのだと聞いている。
家庭や仕事の都合だったりで、参加できる人のみで集まるらしいけど、少し前からお母さんは必ず行くと意気込んでいた。
この親睦会で親交を深めなければならないのだと、よく分からない大人の事情を話していた気がする。