花姫コネクト
ボリューム満点でおいしいと有名なサンドイッチは、値段が高くて二つ入りを分け合った。
小腹が満たされてショッピングモールを出ると、もう一箇所だけ行きたいところがあると言われた。
スマホの時計では十六時を回ったところ。お母さんから連絡が入っていないことを確認して、カバンへ戻した。
少し斜め前を行く姫先輩に、小走りで寄って。
「どこ行くんですか?」
隣に並ぶと、視線を前方へ向ける。
「いいから」
「だって、こっち……」
駅から外れた住宅街を歩きながら、見慣れない景色を進んでいく。
連れられてのれんをくぐったのは、乙谷部長宅のカフェだった。裏側の道からだと、全く知らない場所に感じる。
入るなりパーンと賑やかな音が鳴って、赤や黄色の華やかな色が舞い上がった。
「ハッピーバースデー!」
ぽかんと立ち尽くす私の横で、クラッカーを手にした姫先輩が最後の紙吹雪を降らす。
「みんな……なんで……」
乙谷部長を始めとして、エプロン姿の夏摘さんと高嶺くんまでいる。
「姫川先輩から急にココアが来て。大路さん、今日誕生日なんだね。おめでとう」
「えっ、え? ありがとう……でも、なんで?」
思考が追いつかなくて、さっきから同じことしか言えない。
「たしか今日大路さんの誕生日だよねって、姫川くんにココアしたら。ちょうど今、目の前でうずくまってるって返事が来たから……その」
乙谷部長の声が小さくなっていくと、代わりに夏摘さんが続けて。
「だったら、うちでサプライズの誕生日パーティしないかって。おめでとうココアでさえビビって送れなかったくせに」
「な、夏姉……! それは」
「友達になれたこと、よっぽど嬉しかったみたいよ」
小腹が満たされてショッピングモールを出ると、もう一箇所だけ行きたいところがあると言われた。
スマホの時計では十六時を回ったところ。お母さんから連絡が入っていないことを確認して、カバンへ戻した。
少し斜め前を行く姫先輩に、小走りで寄って。
「どこ行くんですか?」
隣に並ぶと、視線を前方へ向ける。
「いいから」
「だって、こっち……」
駅から外れた住宅街を歩きながら、見慣れない景色を進んでいく。
連れられてのれんをくぐったのは、乙谷部長宅のカフェだった。裏側の道からだと、全く知らない場所に感じる。
入るなりパーンと賑やかな音が鳴って、赤や黄色の華やかな色が舞い上がった。
「ハッピーバースデー!」
ぽかんと立ち尽くす私の横で、クラッカーを手にした姫先輩が最後の紙吹雪を降らす。
「みんな……なんで……」
乙谷部長を始めとして、エプロン姿の夏摘さんと高嶺くんまでいる。
「姫川先輩から急にココアが来て。大路さん、今日誕生日なんだね。おめでとう」
「えっ、え? ありがとう……でも、なんで?」
思考が追いつかなくて、さっきから同じことしか言えない。
「たしか今日大路さんの誕生日だよねって、姫川くんにココアしたら。ちょうど今、目の前でうずくまってるって返事が来たから……その」
乙谷部長の声が小さくなっていくと、代わりに夏摘さんが続けて。
「だったら、うちでサプライズの誕生日パーティしないかって。おめでとうココアでさえビビって送れなかったくせに」
「な、夏姉……! それは」
「友達になれたこと、よっぽど嬉しかったみたいよ」