花姫コネクト
 パーティが終わったのは十八時になる頃で、途中まで方向が同じ高嶺くんが送ってくれることになった。

 学校では高嶺の花だと尊い存在にされている彼だけど、優しくて普通の男の子と変わらない。
 よく食べるし、よく笑う。全く近寄りがたくなんかない。

「……今日、姫川先輩に誘われて行ったけど、迷惑じゃなかったかな。知り合いでもない僕が混じって」

 あと意外に心配性。なんでも完璧に見えていたから、自信で覆われていると思っていた。

「どうして? みんな楽しそうだったし、私も高嶺くんがいてくれてすごく嬉しかったよ!」
「……よかった」

 白い頬が夕焼け色に染まる。
 教室だとポーカーフェイスの高嶺くんが、照れている顔を拝めるのはとても貴重だ。
それだけ心を許してくれているのかな。

 キレイな横顔から目を離すと、隣の足音が止まったことに気付く。


「……高嶺くん?」

 振り向いた先には、空の色を吸い込んだ顔があって。茜色に照らされた高嶺くんが、一歩こちらへ踏み寄る。
 
 ガラス玉みたいにきらきらした瞳は、じっと私だけを見つめて。

「僕、君のことが好きなんだ」

 まわりに漂う世界の音を消し去った。
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