花姫コネクト
 どうしよう……、どうしよう。

 家へ帰ると、玄関にお母さんとふーちゃんの靴があった。

 着くなり二階へ駆け上がったから、下から「はなー? 帰ってきたの?」とお母さんの声が聞こえてきた。

 それどころではなくて、頭から薄い掛け布団を被って十分前のことを思い出す。

 生まれて初めて告白された。未だに信じられなくて、髪の毛先から足のつま先に至るまで震えている。


 高嶺くんが……、私を好き?


 全く気付かなかった。自惚(うぬぼ)れてはいけないと思っていたから。
 振り返ってみたら、思い当たる(ふし)は無きにしも(あら)ず。

 真っ直ぐ見つめる高嶺くんに、何も答えられなかった。

 あまりの衝撃に固まって、戸惑うばかりで声が出なくて。
 まず、ありがとうと伝えられたら良かったのに。それすら出来なくて、一瞬だけ気まずい空気が流れた。


『いきなりごめん。付き合って欲しいとか、そうゆう意味で言ったわけじゃなくて。……ただ、知って欲しくて。ずっと前から好きだったこと』

 返事はいらないからと、家の曲がり角まで送ってくれた。

 高嶺くんのことは、好き。
 でも、恋愛感情なのか友達としてかは分からない。

 胸の鼓動が速くなってドキドキしているけど、花は咲いていないから。きっと、これは恋とは違うのだろう。

 子猫のように丸くなって、やっと手足の震えが収まってきた。

 どうしたら、高嶺くんを傷付けないで話すことが出来るかな。


 何事もなかったように振る舞うのは、薄情?

 断ったら、もう友達でいてくれない?

 これから好きになるかもしれないって、付き合うのは失礼かな。

 告白されるって、すごいな。
 今日一日あった嫌なことや良いことを、全て()っさらってしまうのだから。
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