花姫コネクト
「……どうするって」
「やんの? それともやめんの?」
「や、や……」

 そこまで話して、ようやく花咲きレッスンのことだと分かった。

 ああ! という表情が出ていたのだろう。ぱんっと手のひらを叩いた時には、両頬をむにゅっと押しつままれていた。

「おーおーじー! もう花咲かせる気ねーだろ」
「ありまふ! ありまふ! ご、ごめんなふぁい」

 鳥のくちばしみたいな唇を必死に動かしながら、姫先輩の腕を掴む。

 すっごく変な顔になってる。いい加減にやめてもらいたいけど、意外と力が強くて手が下ろせない。

「ふぇんふぁい?」

 いつにない真面目な瞳があって、胸からドキッと音が鳴った。スズメの涙ほどの大きさで。

「あお……ほろほろはゆしちゅほひーでふ」
「……ぷっ、悪い」

 離れた指先は私の頭をくしゃっとして、もう一度じっと見つめてくる。今度は何かを確認するように。

「うん、やっぱ王子は王子だわ」
「どういう意味ですか」
「いつものお前で安心したってこと」
「……それ、褒めてます?」
「うん」

 そうそうと、あしらうように笑ってみせる。
 適当だなぁと髪を直しながら、少しだけ頬が緩んだ。

「まあ、花なんて無理に咲かせることねーし。やめればいいと思うけど」

 かばんのファスナーを閉めて、姫先輩が帰る支度をする。
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