花姫コネクト
先生が朗読をして、教科書の文字を目で追うたびヒジが当たる。少しドキドキするけど、花は開かない。
「大路さん」
また体が近付いた時、隣から名前を呼ぶ声がした。いかにも美少年が浮かぶ綺麗な音色で。
「あのさ、今日の放課後、空いてる?」
「放課後……は、ちょっと用事があって」
言いながら姫先輩の顔が頭を過ぎた。人を小馬鹿にするような笑みを、脳内から素早く消す。
「そっか、残念」
眉を下げて落とされた言葉は、きっと私たちにしか聞こえていないほどの小さな声。
さらに顔を寄せる高嶺くんに、思わず胸が鳴る。
いくらなんでも近いよ。肩が当たりそうだ。
「いつも部活終わり、姫川先輩といるよね。もしかして、今日も約束してるの?」
「えっと……約束と言うか、うん」
詳しく話せないのが心苦しい。
まさか、花を咲かせるために付き合ってもらっているなんて恥ずかしいこと、口がさけても言えない。
「そっか」と前を向く高嶺くんの耳下には、綺麗なラベンダー色の花が凛と顔を出している。
一度でも恋をしたことがある人は、花びらが閉じ切らずに少し開いた状態になるの。
今恋をしている人は三分咲きになって、感情が強くなるにつれて五分、七分と広がりが大きくなっていく。
こんなかっこいい人が好きになる子って、どんな子なんだろう。
うす紫の花をちらりと見ながら、脱力のため息が出た。
「大路さん」
また体が近付いた時、隣から名前を呼ぶ声がした。いかにも美少年が浮かぶ綺麗な音色で。
「あのさ、今日の放課後、空いてる?」
「放課後……は、ちょっと用事があって」
言いながら姫先輩の顔が頭を過ぎた。人を小馬鹿にするような笑みを、脳内から素早く消す。
「そっか、残念」
眉を下げて落とされた言葉は、きっと私たちにしか聞こえていないほどの小さな声。
さらに顔を寄せる高嶺くんに、思わず胸が鳴る。
いくらなんでも近いよ。肩が当たりそうだ。
「いつも部活終わり、姫川先輩といるよね。もしかして、今日も約束してるの?」
「えっと……約束と言うか、うん」
詳しく話せないのが心苦しい。
まさか、花を咲かせるために付き合ってもらっているなんて恥ずかしいこと、口がさけても言えない。
「そっか」と前を向く高嶺くんの耳下には、綺麗なラベンダー色の花が凛と顔を出している。
一度でも恋をしたことがある人は、花びらが閉じ切らずに少し開いた状態になるの。
今恋をしている人は三分咲きになって、感情が強くなるにつれて五分、七分と広がりが大きくなっていく。
こんなかっこいい人が好きになる子って、どんな子なんだろう。
うす紫の花をちらりと見ながら、脱力のため息が出た。