花姫コネクト
 話の内容は聞こえないけど、楽しそうに笑っている。
 なんだ、他の子の前でもああいう顔するんだ。

 窓を閉めようとした時、少しの違和感を覚えた。あれ、いつもと何かが違う。

 ーーあっ。
 姫先輩の耳元には、目を惹くような青い花が咲いていた。

 そっか……姫先輩、咲かせちゃったんだ。
「先、超されちゃったかぁ」

 背を向けてうつ向くと、ぽたりと何か熱いものが落ちた。
 あふれ出る涙が止まることなく、チクチクと胸を刺す痛みはどこから現れたのか分からない。


「あれ? なに、これ。意味……分かんないよ」

 ふわりと鼻をくすぐる可憐(かれん)な香り。視界に入った小さな花は、白くて可愛らしい形をしていた。

 あれだけ意気込んで頑張っていたのに、こんなにあっ気なく咲くなんてバカみたい。

 ズルズルと流れるように床へうずくまって、動けなくなる。


 ーー姫先輩が、他の女の子に恋をした。


 恋って、華やかでわくわく弾けるような感情だと思ってた。
 こんなに胸が苦しくなるものだなんて、知らなかったよ。
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