花姫コネクト
 体調が悪いと乙谷部長へ連絡を入れて、部活を休んだ。
 こんな状態では、みんなに会えない。あれこれ聞かれるに決まっている。

 家へ帰るなり、「おかえり」と顔を向けたお母さんが絶句して。口元を押さえながら、

「はなー! おめでとう! お母さんと一緒の純白じゃない。さすが我が娘ねぇ」

 これでもかというくらい強く抱きしめられて、なんだか照れくさくなる。
 やっぱり、お母さんも花が咲いて欲しかったんだ。

 畳の部屋で昼寝をするふーちゃんを横目に、隣接するリビングで二人肩を並べる。

 ソファーに座って、お母さんが出してくれたクッキーを手にした。

 人形のカタチをした少し不恰好なクッキー。花冠とワンピースの模様に見覚えがある。

「これ、お母さんが作ったの?」
「そうよ。華が小さい時、よく一緒に作ったの。覚えてる?」

 こくんとうなずきながら、ひとくち頬張る。バターと卵の香りが広がって、懐かしい味がした。

「華が小学三年生の時ね、学校から帰ってくるなり、好きな人が出来たー! って叫んだの覚えてる?」

「ええ? そんなことあった? でも私、花咲いたことないよね?」

 うんと笑いながら、お母さんはクッキーを手にする。
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