花姫コネクト
「ひっみつー!」

 でも、ぐっと堪えて、いつものイーッと歯を出す顔をした。

「ええー、なんだよー」と笑う声に被さって、ショートホームルームのチャイムが鳴る。

 散っていくみんなの後ろ姿を見て、ほっと胸を撫で下ろした。
 心と行動はちぐはぐなことをして、なんだか裏切っているみたい。

 変わろうとしても、なかなか上手くはいかないものだなぁ。


 先生が話している最中、トントンと机を叩くリズムが聞こえて顔を上げた。高嶺くんが、隣でノートを広げている。

 首を傾げながら目を向けると、『大丈夫?』と文字が見えた。

『ありがとう、平気だよ!』

 そこへ返事を書くと、またノートがやって来て、
『何かあったら相談してね』
 にっこりマークと一緒に、優しい笑みをくれた。

 うなずきながらも、勝手な時ばかり頼れないと心につぶやく。

 どうしても、申し訳ない気持ちが優先してしまう。

 また何かを書いていると思ったら、下に付け足された文字があった。

『また乙谷さんのカフェ行きたいから、今度付き合ってくれない?』

 うんと首を動かした表情は、きっと隠しきれていなかったと思う。
 目尻や頬、唇からあふれる喜びの証拠を。
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