花姫コネクト
 クリームの上に乗る桜の団子を取る。パフェの形が崩れて、少し傾いた。
 なんでもいいから、ぱっと思い付くものでいいよと言われて、出たのは。

「……花を咲かせること、です」
「えっと、それって、どういう意味かな?」

 ぴんと来ていない様子の乙谷部長が、首をかしげる。

「早く恋をしたくて、花を咲かせるために、一生懸命だったことがあるんです。今思えば、バカだなってなるけど……」

 頭に浮かぶのは、やる気がなさそうで、あきれながらも付き合ってくれて。いつも笑って隣にいた姫先輩の顔。

 もう一度、あの頃に戻りたい。
 好きとか、嫌いとか関係なく、まっすぐ見つめて笑い合っていた頃に。

 高嶺くんが抹茶の生チョコをすくうと、並んでいた白玉がすとんと落ちた。
 溶け始めるアイスの中に、沈んで見えなくなる。

「自分の気持ちに気付いたとたん、今までの世界が壊れてしまうことってあるよね」

 穏やかな口ぶりで、高嶺くんが私の白い花に触れる。軽くぴんと弾いて、耳元でゆらゆらと茎が踊った。
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