花姫コネクト
「あー、思い出したわ。これ」
カバンから出てきたのは小さな紙袋で、中身は少女漫画。
フリーズしている私の頭をこつんと突いて、さらに口調を荒げる。
「王子が勉強しろって渡したやつ。花咲いたんだから、もう必要ねーだろ」
「あっ、うん……そっか」
いつでも会える気でいたから、貸していたことなんてすっかり忘れていた。
二人で会う理由は、もうない。レッスンも、部活も、すべて終わってしまったから。
紙袋を握る手に力がこもる。
そういえば、ちゃんと花のこと聞いてなかった。青い花が咲いたのは、河合さんを好きだからなのか。
「あのっ……」
「あのさ……」
言いかけた言葉は、姫先輩の声に重なって小さくなる。
触れ合った瞳をすぐにそらして、先にどうぞとだけ言う。染まり上がる頬を隠すように、反対側を向いて。
「えっ、ああ……あのさ、また、じーちゃんに会ってくれねーかなと思って」
とくん。ゆっくり顔を上げると、言いづらそうに口を隠している。こんな姫先輩は、初めてだ。
胸の高鳴りを抑えつつ、そっと斜め上にある目を見ながら。
「……それは、その、また彼女のフリして……ってことですか?」
「……ダメ?」
ふいに戻される視線に、心臓が跳ね上がった。
ううん、と首を振る。
サンキューと安心する顔を見て、同じように笑みが浮かぶ。
私はズルい人間だ。
河合さんに申し訳ないと思いながら、また姫先輩と会う口実が出来たことに胸を膨らませている。
カバンから出てきたのは小さな紙袋で、中身は少女漫画。
フリーズしている私の頭をこつんと突いて、さらに口調を荒げる。
「王子が勉強しろって渡したやつ。花咲いたんだから、もう必要ねーだろ」
「あっ、うん……そっか」
いつでも会える気でいたから、貸していたことなんてすっかり忘れていた。
二人で会う理由は、もうない。レッスンも、部活も、すべて終わってしまったから。
紙袋を握る手に力がこもる。
そういえば、ちゃんと花のこと聞いてなかった。青い花が咲いたのは、河合さんを好きだからなのか。
「あのっ……」
「あのさ……」
言いかけた言葉は、姫先輩の声に重なって小さくなる。
触れ合った瞳をすぐにそらして、先にどうぞとだけ言う。染まり上がる頬を隠すように、反対側を向いて。
「えっ、ああ……あのさ、また、じーちゃんに会ってくれねーかなと思って」
とくん。ゆっくり顔を上げると、言いづらそうに口を隠している。こんな姫先輩は、初めてだ。
胸の高鳴りを抑えつつ、そっと斜め上にある目を見ながら。
「……それは、その、また彼女のフリして……ってことですか?」
「……ダメ?」
ふいに戻される視線に、心臓が跳ね上がった。
ううん、と首を振る。
サンキューと安心する顔を見て、同じように笑みが浮かぶ。
私はズルい人間だ。
河合さんに申し訳ないと思いながら、また姫先輩と会う口実が出来たことに胸を膨らませている。