身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
 落ち着いて考えてみれば、友恵ちゃんが家出から戻ってきた後に会った際、成さんに私を好きだって熱弁されたって言っていた。
 それって、このことだったんだ。

 ひとつひとつが繋がっていく。

 ふと成さんを見たら、熱を帯びた眼差しを向けられていた。

 真剣な面持ちに私の胸まで熱くなる。
 触れられている手もじわりと熱を持って、彼から目を逸らせない。

 成さんは、ひたむきなまなざしのまま言った。

「俺は初めから梓に惹かれていて一緒にいる。これからもそばにいてほしい」

 それはさながら二度目のプロポーズ。

 私はひとくちでは言い表せない感情が込み上げてきて、すぐに答えられなかった。
 そのせいか、不安げに瞳を揺らして彼はつぶやく。

「お見合いの……しかも代役っていう出逢い方をしたせいで不安にさせてたならごめん。俺は初めから梓に興味があったし、知り合ってからも惹かれていって、今では俺だけを見てほしいって考えるほど想ってる」

 しかし、最後はやっぱりまっすぐに私を見て捕らえる。視線も思考も心も――。

「なんか……びっくりして」

 本当に驚かされることばかり。今もまだ、どこか信じられない気持ちになる。

「……だけど……うれしいです」

 ずっと前から私を知って、見てくれていたことが、今は素直にうれしい。
 私が微笑みで返すと、成さんも安堵した様子でニコッと笑ってくれた。

「梓。もう少し付き合ってくれる?」
「え?」
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