身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
買い物を終えてマンションに戻ってきたのは、夕方六時頃だった。
あまりに荷物が多かったからか、コンシェルジュも運ぶのを手伝ってくれた。
「疲れたんじゃない? 少し休んだらいいよ」
「あ、だけどせめて炊飯器は箱から出さないと。お米を炊けないので」
私が休む間もなくキッチンの床に置かれた箱を開こうとしたら、横から手が伸びてきた。
「俺がやるよ」
スマートに作業を変わってくれる成さんを見て、つい口からこぼれ出た。
「本当、思ってた感じと違いますね」
「へえ。興味あるな。じゃ、どう思ってたの?」
成さんは炊飯器をカップボードの上に置きながら尋ねてきた。
私は彼の横顔を気まずい思いで見つめ、ぽつぽつと答える。
「肩書きだけ聞いて勝手にイメージしてたんです。自ら率先して動くより、人を使うほうが慣れてるのかなあ……って。だから、一緒に買い出しに付き合ってくれたり、こうしてスマートに手伝ってくれるのが少し意外だったんです。すみません」
悪気はなくっても、あまりいい思いはしないはず。
すると、成さんは次に私の前に置いてあった電子レンジの箱を開封しながら答える。
あまりに荷物が多かったからか、コンシェルジュも運ぶのを手伝ってくれた。
「疲れたんじゃない? 少し休んだらいいよ」
「あ、だけどせめて炊飯器は箱から出さないと。お米を炊けないので」
私が休む間もなくキッチンの床に置かれた箱を開こうとしたら、横から手が伸びてきた。
「俺がやるよ」
スマートに作業を変わってくれる成さんを見て、つい口からこぼれ出た。
「本当、思ってた感じと違いますね」
「へえ。興味あるな。じゃ、どう思ってたの?」
成さんは炊飯器をカップボードの上に置きながら尋ねてきた。
私は彼の横顔を気まずい思いで見つめ、ぽつぽつと答える。
「肩書きだけ聞いて勝手にイメージしてたんです。自ら率先して動くより、人を使うほうが慣れてるのかなあ……って。だから、一緒に買い出しに付き合ってくれたり、こうしてスマートに手伝ってくれるのが少し意外だったんです。すみません」
悪気はなくっても、あまりいい思いはしないはず。
すると、成さんは次に私の前に置いてあった電子レンジの箱を開封しながら答える。