身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
いつもより十分早くオフィスに到着した私は、まだ誰もいない部署に入った。
成さんのマンションにお世話になるようになってから思ったのは、通勤時間がかなり短縮されて朝が楽!ということ。
これまでの半分以下の時間でオフィスに着く分、朝起きてからゆとりが持てる。
デスクに着いて、さっそくパソコンを開く。メールのチェックをし終えた頃に、パラパラとほかの社員が出社してきた。
「おはようございまーす。あれ? 最近時雨さん、毎日早いですね」
高く可愛らしい声は、振り向く前に誰のものかすぐわかる。
「おはよう。うん。ちょっとね。稲垣さんも今日は少し早いんじゃない?」
「今日中に納品しなきゃならないものが重なってるんですよ。絶対目が乾く~。コンタクト大丈夫かなあ……」
彼女は私の二年後輩の稲垣里美。おしゃれが大好きだと見た目からわかる、可愛い女子だ。
服装はもちろん、バッグやアクセサリーなどの小物にも気を使っている。
そのうえ、メイクもこだわりがあるらしい。
「時雨さんは視力良かったですよねー? じゃあ裸眼ですか? 元々黒目が大きいなんて羨ましい」
「く、黒目? 気にしたことなかったな……」
稲垣さんが、急に私の顔を至近距離で覗き込んでくるものだからたじろいだ。
「そりゃあ悩む必要ないもの元から持ってたら当然ですよ。その目をちょっと潤ませて上目遣いすれば、男の人なんてすぐ落ちますよ~!」
「いや、私にはちょっと……。第一相手もいないし」
「そうなんですか? もったいない。私も時雨さんみたいになりたいですよ。私なんて睫毛も短いし、顔もむくみやすいし」
「えっ。全然そう見えないよ」
だって口を尖らせる稲垣さんは、ふさふさの睫毛にくりっとした目で、アイシャドウがキラキラして今日も変わらず可愛い。
成さんのマンションにお世話になるようになってから思ったのは、通勤時間がかなり短縮されて朝が楽!ということ。
これまでの半分以下の時間でオフィスに着く分、朝起きてからゆとりが持てる。
デスクに着いて、さっそくパソコンを開く。メールのチェックをし終えた頃に、パラパラとほかの社員が出社してきた。
「おはようございまーす。あれ? 最近時雨さん、毎日早いですね」
高く可愛らしい声は、振り向く前に誰のものかすぐわかる。
「おはよう。うん。ちょっとね。稲垣さんも今日は少し早いんじゃない?」
「今日中に納品しなきゃならないものが重なってるんですよ。絶対目が乾く~。コンタクト大丈夫かなあ……」
彼女は私の二年後輩の稲垣里美。おしゃれが大好きだと見た目からわかる、可愛い女子だ。
服装はもちろん、バッグやアクセサリーなどの小物にも気を使っている。
そのうえ、メイクもこだわりがあるらしい。
「時雨さんは視力良かったですよねー? じゃあ裸眼ですか? 元々黒目が大きいなんて羨ましい」
「く、黒目? 気にしたことなかったな……」
稲垣さんが、急に私の顔を至近距離で覗き込んでくるものだからたじろいだ。
「そりゃあ悩む必要ないもの元から持ってたら当然ですよ。その目をちょっと潤ませて上目遣いすれば、男の人なんてすぐ落ちますよ~!」
「いや、私にはちょっと……。第一相手もいないし」
「そうなんですか? もったいない。私も時雨さんみたいになりたいですよ。私なんて睫毛も短いし、顔もむくみやすいし」
「えっ。全然そう見えないよ」
だって口を尖らせる稲垣さんは、ふさふさの睫毛にくりっとした目で、アイシャドウがキラキラして今日も変わらず可愛い。