8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~
支度が整った頃、カイがやってくる。普段の護衛のときと違い、礼服に身を包んだ彼は逞しく格好いい。
「おー、フィオナ様、お綺麗ですね。ポリーも」
「ついでみたいに言わないでくださいよ、カイさん」
カイとポリーが仲良さげに話しているのを見ているとほのぼのする。
微笑んでみていると、フィオナを呼ぶ別の声がした。
「フィオナ」
「オスニエル様?」
黒地に金の刺繍がされた礼服を着込んだオスニエルはが現れ、ポリーとカイは一歩下がって頭を下げる。
オスニエルはそちらには目もくれず、フィオナを見て目尻を緩ませる。
「美しいな。似合っている」
「あ、ありがとうございます」
フィオナはタジタジになりながら、うつむいた。「ほら、もう来た」とポリーが小声で言うのが聞こえる。
「今日は父上の生誕祭だが、お前のお披露目にもなる。どうか笑顔で乗り切ってくれ」
「はあ」
フィオナはあいまいに返事をしながら、彼のエスコートで会場へと向かった。
後宮から広間に向かう間にも、たくさんの要人が歓談しているのが見える。オスニエルは声をかけられるたびに、フィオナのことを紹介して回った。
優雅な音楽が流れる広間に入ると、豪華なシャンデリアが作る煌びやかな光と、色とりどりのドレスが目に飛び込んできた。
オスニエルの登場に、皆、その場を開け、うやうやしく頭を下げる。
「いい。皆表を上げて楽しんでくれ」
彼のひと言で、周囲の空気がほぐれてくる。フィオナはホッとして、彼の腕を掴みながら一緒に中央へ向かっていった。ふたりの間には近寄りがたい雰囲気があったのか、歩くたびに人波が開いていく。
そこへ、果敢に立ちふさがる令嬢がいた。赤い扇情的なドレスを着こなしたジェマ嬢だ。
「オスニエル様」
「ジェマ嬢……」
「どうか、今日の一番目のダンスは私と」
ジェマはフィオナをいないもののように扱うことにしたらしい。目も向けず、挨拶などもせず、オスニエルだけに視線を注ぐ。
「おー、フィオナ様、お綺麗ですね。ポリーも」
「ついでみたいに言わないでくださいよ、カイさん」
カイとポリーが仲良さげに話しているのを見ているとほのぼのする。
微笑んでみていると、フィオナを呼ぶ別の声がした。
「フィオナ」
「オスニエル様?」
黒地に金の刺繍がされた礼服を着込んだオスニエルはが現れ、ポリーとカイは一歩下がって頭を下げる。
オスニエルはそちらには目もくれず、フィオナを見て目尻を緩ませる。
「美しいな。似合っている」
「あ、ありがとうございます」
フィオナはタジタジになりながら、うつむいた。「ほら、もう来た」とポリーが小声で言うのが聞こえる。
「今日は父上の生誕祭だが、お前のお披露目にもなる。どうか笑顔で乗り切ってくれ」
「はあ」
フィオナはあいまいに返事をしながら、彼のエスコートで会場へと向かった。
後宮から広間に向かう間にも、たくさんの要人が歓談しているのが見える。オスニエルは声をかけられるたびに、フィオナのことを紹介して回った。
優雅な音楽が流れる広間に入ると、豪華なシャンデリアが作る煌びやかな光と、色とりどりのドレスが目に飛び込んできた。
オスニエルの登場に、皆、その場を開け、うやうやしく頭を下げる。
「いい。皆表を上げて楽しんでくれ」
彼のひと言で、周囲の空気がほぐれてくる。フィオナはホッとして、彼の腕を掴みながら一緒に中央へ向かっていった。ふたりの間には近寄りがたい雰囲気があったのか、歩くたびに人波が開いていく。
そこへ、果敢に立ちふさがる令嬢がいた。赤い扇情的なドレスを着こなしたジェマ嬢だ。
「オスニエル様」
「ジェマ嬢……」
「どうか、今日の一番目のダンスは私と」
ジェマはフィオナをいないもののように扱うことにしたらしい。目も向けず、挨拶などもせず、オスニエルだけに視線を注ぐ。