幼馴染みは、溺愛執事!?
夜9時。

わたくしは部屋のバルコニーにいた。

隣には優雅も。

ふたりでしばらく秋の満月を見上げる。

「月が綺麗ですね」

そう囁かれて、ドキッとする。

昔の人は、これを『愛してる』という意味で使ったそうだ。

でも優雅はそういう意味で言ったわけじゃない。

「お話とは?」

「月が綺麗ね、優雅」

面食らったような顔をして、彼はこう答える。

「そうですね?」

絶対にわかってないやつだ。

「あのね、わたくしは──」

──チュッ

「わかった?わたくしは、あなたのことを『愛してる』」

「心愛…。戻ったのか、感情が」

「優雅のお陰。貴方はわたくしの運命の人」

「…っ!」

ぐっと引き寄せられて、気づいたときには彼の胸の中。

「優雅…」

「そんな…光栄です」

「大好き、優雅」

そう言って、もう一度わたくしから唇を寄せた。
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