幼馴染みは、溺愛執事!?
Epilogue

愛しい人

──翌日

「おはようございます、伊集院様」

久しぶりに学校に来ると、玄関で知らない女の子達に声をかけられた。

「えっと、どなたかしら?」

「榊理衣沙ですわ」

代表格のひとりがそう名乗る。

「榊財閥の方がなんの御用かしら?」

「申し訳ございませんでした。スターライン様を仕向けたのは私ですわ」

「え?」

「中等部にいた頃の話ですわ。それから、この前の事件、あなたのお父様が向かっていた先はうちとの会議でしたの。うちはお父様が総帥になってから経営が苦しくなって…。会議など、あの道を通らせるための罠でしかないわ…。スターライングループにかなり助けていただいていて断れなかった…」

泣き崩れながらも告白する彼女に、取り巻きの二人は目を見開いている。

プライドが高そうな彼女だが、実は自分の家のことで苦しんで来たのではないだろうか。

「そうなのね」

「…え?」

目を真っ赤にした彼女が顔を上げる。

「家のやったことでしょう?あなたが気に病むことは無いわ。話してくれてありがとう。あなたとは友人になりたいわ」

「…っ!ありがとうございます。光栄ですわ」

そう言って笑った彼女─理衣沙はとってもキレイだった。

「どういうことなのぉ?」

「意味がわかりませんわ!」

一部始終を放心状態で見ていた取り巻きたちが、理衣沙に文句をいう。

「心愛様は案外いい人のようだわ。なにはともあれ、あなた達よりは」

共通の敵を作ることで団結していた彼女たちは、理衣沙の見事な手のひら返しに呆然としている。

「…っ」

「あなた達、お名前は?理衣沙は名乗ったけれど、あなた方は無礼にも程があるわね?」

真正面から見つめてそう言うと。

「もう知りませんわ!」

「理衣沙様もその程度だったんですねぇ…!」

そう捨てゼリフをはいて、立ち去ってしまった。

< 68 / 75 >

この作品をシェア

pagetop