あの日の君と私
「なあ、聞いた?坂野たちが五十嵐のこと柊って呼んでるらしいぜ」
「え、それまじ?なんであいつが?」
「めっちゃ仲いいよな、付き合ってんのか?」
『彼』こと五十嵐 柊(いがらし しゅう)の人気は
何気ない学校一のマドンナに気に入られた事を機に急上昇を始めた。
坂野 志保(さかの しほ)は私の幼馴染であり
彼女こそが我ら【市立第一中学校】のマドンナ、私の永遠の憧れだった。
大きなクリっとした目と、ちょっと茶色がかったセミロングの髪の毛、
中学生ながらに化粧も覚えていて、何においてもセンスのある人気者。
代わる代わる、同学年、先輩、後輩のこれまた人気の男の子とばかり付き合って
多分、志保に告白されたら断る男子はいないんだろうな~って
当時から取り巻きの1人ながらに思っていた。
そんな志保が、付き合っていると噂される男こそ
学年一の不良少年、五十嵐 柊。
私がひそかに…ほんとにひそかに…想いを寄せている人…。