夏の君
「…てか、すごい荷物じゃん、半分持つよ?」
沈黙をかき消すように、晶は俺が持つ袋に手をかけるが
「そんなかっこしてるのに持たせるかよ」
俺はそんな晶の手を払う。
晶の顔をちゃんと見ることができず、
晶はきょとんとしたような、むっとしたような、何か言いたげな顔で俺を見ている。
「てかもう時間すぎてねーか?」
「…ほんと。もう10分過ぎ」
「先行っとくか。」
「…うん」
こういう時に限ってやつらは遅刻か。
特等席は確保できてるからどうせあっちで合流するし、と俺と晶は河川敷までゆっくり歩いて向かうことにした。
花火大会は18時半からだから、まだ時間には余裕があるだろう。
晶と2人で歩く、異様に長く感じる河川敷までの道のり。
辺りは少し薄暗くなってきたが、それと同時に河川敷に向かう人の流れが出来てきた。