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「 あたし後悔してた 」
「 ん…? 」
「 …何を 」
「 あんな約束するんじゃなかったって、後悔してた。…なんでかなぁ…何も満たされなかったや 」
……かおるちゃんが泣いている。
わたしが、新大が、なにもできなくて止まっているあいだにも、かおるちゃんは泣いている。
わたしにはわかることのない、後悔。
かおるちゃんだけの、後悔……?
「 満たされるわけないだろ 」
「 ……でも、 」
「 別に空いた穴埋めに来たわけじゃないんだし、……お前がどうかなんて分かんないけど、少なくとも俺はそうじゃない。だから後悔なんて、 」
……また、してる。
二人だけの、むずかしいお話。
海に来れたわたしに後悔なんてなかった、こんなにきれいなものを見て後悔なんてするはずもなくて
かおるちゃんが泣いている理由も、わからなくて
でも、新大はちがった。